レッスン2

スポットDCAのタイプおよびロジック

本レポートでは、Gateが提供する3つの設定方法(Ultra AI、推奨ボット、手動設定)と、ポジションオープン、価格乖離、サイクル終了、次サイクル開始までの運用フロー全体を詳細に分析する。これらの方法に適した市場環境および不適な市場環境についても解説する。

1. Gateでの3つの設定方法

  • Ultra AI:投資額を入力するだけで、AIが自動的にスポットDCA運用を開始する。初心者に適している。
  • 推奨ボット:稼働中のスポットDCAボットを選択してコピーできる。初心者向けの手法である。
  • 手動設定:ユーザーが取引ペア、価格乖離、最大DCA注文数、投資金額など各項目を詳細に設定し、内容を確認して開始する。経験者向け。

2. 運用ロジック

スポットDCAの基本ロジックは、追加購入ごとに平均取得コストを引き下げ、価格が平均取得コストを上回って反発した際に全体で利益確定するというものである。

ステップ1:エントリー
価格乖離、最大DCA注文数、購入額などの各種パラメータを設定し、指定した暗号資産をスポット市場で購入する。

ステップ2:トリガー条件(平均コストの低減)

  • 直近の買付価格から設定した間隔まで価格が下がると、DCA注文が実行される。
  • 新規購入数量は前回より多くなり(累乗的に増加)、このポジションの加重が急速に高まる。
  • これにより、全体の平均取得コストを現時点の市場価格へ迅速に近づけ、損益分岐点に達するための反発率が小さくて済む。

例:初回に1単位を購入し、価格が10%下落するごとに2単位、さらに4単位と倍増で買い増す場合、価格が大きく下落しても購入量が多いため平均取得コストは非常に低く抑えられる。

ステップ3:反発を待ち、利益確定

  • 市場が平均取得コストおよび利益率(例:+0.5%や+1%)を上回ると、システムは全ポジションを売却する。
  • 売却後は小さな利益を確定し、次のサイクルが始まる。
  • この運用は大きな利益ではなく、頻繁な小さな利益の積み重ねによるリターンを目指す。

ステップ4:主要な前提条件とリスク
運用ロジックは以下の重要な前提に依存する。

  1. 価格が平均取得コスト付近まで少なくとも一度は反発する
  2. 複数回の買い増しに対応できる十分な資金がある
  3. 対象資産が恒久的に暴落したり上場廃止にならない
  4. 市場が一方向へ下落し続けるのではなく、レンジで推移する

これらの条件が崩れる場合、たとえば長期的な一方向下落で資金が尽きて追加購入できなくなると、ボットは機能せず、損失を抱えたままになるリスクがある。

ロジックは、初回エントリー→価格下落時の追加投資→平均取得コストの低減→小幅な反発で全決済→次サイクル開始、という流れである。このボットは資金耐久性を活用して勝率を高める設計であり、市場のボラティリティや平均回帰性に依存する。一方で、トレンド相場で一方向の下落となる場合は、損失を抱えて大きなリスクを負う。

3. 適した市場環境

3.1 広いレンジの往来相場

  • 特徴:価格が明確な方向性なく広いレンジ内で推移し、ボラティリティが中程度から高水準となる。
  • 理由:スポットDCAは平均取得コスト付近への価格反発による利益確定に依存するため、変動頻度が多いほどサイクル回数が増え、勝率も向上する。
  • 例:BTCが特定期間、106,000~125,000 USDTのレンジで繰り返し推移していた場面。

3.2 平均回帰性が顕著な資産

  • 特徴:基礎資産が短期的に移動平均線やボリンジャーバンド中央帯から大きく乖離し、その後平均値へ戻りやすい傾向を持つ。
  • 理由:このような暗号資産は価格が大きく下落した際に裁定取引やセンチメントの回復で自然と反発しやすく、スポットDCAのロジックと好相性である。
  • 例:強気・弱気のいずれでもない時期のBTCやETHなどの主要暗号資産。

3.3 高ボラティリティだが継続的な暴落ではない相場

  • 特徴:短期間で10~30%規模の大きな値動きがあるが、長期的な一直線の下落は生じていない。
  • 理由:ボラティリティがあることで分散購入や価格反発の機会が生まれ、長期でポジションを抱えるリスクを軽減できる。
  • 例:特定のアルトコインがニュースをきっかけに大きく上下動するケース。

3.4 レバレッジを利用しないスポット市場

  • レバレッジ取引は清算リスクを伴うため、「資金耐久性」を重視するスポットDCAには適さない。

4. 不適切な市場環境

  • 一方向の弱気相場や長期的な下落基調(反発機会がないまま価格が下がり続ける状態)
  • 暴落・価値がゼロとなったコイン(基礎価値を喪失した銘柄や詐欺的なプロジェクトなど)
  • 極端にボラティリティが低い持ち合い相場(値動きが小さすぎて分散購入や利確トリガーが発生しない)
免責事項
* 暗号資産投資には重大なリスクが伴います。注意して進めてください。このコースは投資アドバイスを目的としたものではありません。
※ このコースはGate Learnに参加しているメンバーが作成したものです。作成者が共有した意見はGate Learnを代表するものではありません。