レッスン1

GateスポットDCAについてのご案内

本レッスンでは、スポットDCAの原理や基本ロジック、数値を用いた例、メリット・デメリットを解説し、適切な投資家像について考察します。この手法は、価格が下落した際に追加購入(ナンピン)を行い、平均取得コストを引き下げることや、価格が反発して上下する局面で小さな利益を積み重ねることができます。ただし、多額の資金と強い精神力が求められます。

1. はじめに

スポットDCAは、マーチンゲール法をベースとしたスポット市場向けのポジション倍増手法です。その本質は、価格が下がるたびに購入量を増やし、買い増しを倍増で継続することにあります。つまり、価格が下落した際には損切りせず、あらかじめ決められた倍率(一般的に2倍)で購入量を増やして平均取得コストを下げ、市場が反発した際に損益分岐や利益確定を狙います。

2. コアロジック:なぜ「一度は勝てる」のか

  • 価格が下落するたび、次の購入数量は倍増などの倍率で増加し、最新のポジション比率が大きくなります。
  • 価格が平均取得コスト水準まで反発すれば、全体で損益分岐または小幅な利益となります。
  • 重要なポイントは、最終的に価格が平均取得コストを上回れば利益化できるという点です。

3. 数値例

初回購入数量をq0、初期価格をp0、購入数量の倍率をm(例:2)、価格変化率をr(下落後価格=前回価格×r、例:20%下落はr=0.8)とします。p0=100 USDT、初回購入数量が1単位(q0=1)、価格が20%下がるたび(r=0.8)に購入数量が倍増(m=2)するケースを想定します。以下は0回〜5回までの買い増し時の変化です。

画像をクリックしてスプレッドシートを表示

まとめ

  • 初期投資100 USDT → 上記ルールで5回連続して買い増しを行うと、累計コストは約2,629.54 USDT(資金必要額が指数関数的に増加)。
  • 価格が下がるごとに、その時点の価格から必要となる反発幅が大きくなります。
  • 資金需要と心理的負担が短期間で大きく増加します。

4. メリット・デメリット

4.1 メリット

  • シンプルかつ体系的な手法であり、自動化による実装も容易です。
  • 短期レンジや平均回帰的な市場(下落幅が限定的で最終的に反発する状況)では高い成功率を見込めます。
  • 底を予測する必要がなく、「いずれ反発する」という前提だけで運用可能です。
  • レバレッジ取引と異なり、スポット取引であれば取引所からの強制ロスカットは発生しません。

4.2 デメリット・リスク

  • 資金消費が指数関数的に増加:下落が続くと急速に資金が枯渇し、平均取得コストの引き下げができなくなります。
  • 長期的な下落リスク:資産が長期間にわたって下落もしくは暴落した場合(プロジェクトの不正・上場廃止・オンチェーン問題等)には大きな損失につながります。
  • 心理的負担:損失時に平均取得コストを引き下げ続けることで極度なストレスが生じ、ミスやルール逸脱のリスクが高まります。

5. 適した投資家プロファイル

5.1 中〜高リスク許容度

  • 資金曲線の大きな変動による短期的な評価損が膨らむことを受け入れられる投資家。
  • 心理的に安定し、ルールに従い最後までやり抜ける投資家。

5.2 十分な資金と規律ある流動性管理

  • 一度に全額投入せず、複数回の買い増しに備えて予備資金を保持できる投資家。
  • あらかじめ計画した最大買い増し回数を厳密に遵守し、資金枯渇を防ぐ投資家。

5.3 高い実行力・ボットルール順守

  • 購入倍率・間隔・利食いレベルなどを恣意的に変更しない投資家。
  • ボットの損益構造(小さな利益を積み重ね、たまに大きな損失が発生する)を許容できる投資家。

5.4 クオンツ・自動売買志向

  • スポットDCAの手動運用は困難で、発動タイミングを逃しやすいです。
  • データ分析・バックテスト・自動売買ツールに精通している投資家が望ましいでしょう。

スポットDCAは「短期的なボラティリティの後に反発が期待できる」資産において、損失を短期間で小幅な利益へ転換することができますが、極めて大きな資金力と高い精神的耐性が求められます。一度長期下落トレンドに巻き込まれると、資金が急激に減少するリスクがあります。「万能な手法」ではなく、あくまでひとつの「ツール」と捉え、運用に際しては最大買い増し回数や資金プールの上限を事前に明確化し、厳格なバックテストとリスク管理を行ってください。

免責事項
* 暗号資産投資には重大なリスクが伴います。注意して進めてください。このコースは投資アドバイスを目的としたものではありません。
※ このコースはGate Learnに参加しているメンバーが作成したものです。作成者が共有した意見はGate Learnを代表するものではありません。