将来「お金」は消え、「電気」で決済する時代が来る？

テスラの株主総会で、イーロン・マスクは非常に革新的な見解を示しました。将来、「電気」が通貨に取って代わるかもしれないというのです。彼は、将来的には従来の意味での通貨が存在しなくなり、価値がワットで計算される可能性すらあると考えています。総会で彼は「エネルギーこそが本当のハードカレンシーだ」と語りました。

マスクのこの見解は決して根拠のないものではありません。2025年第3四半期には、暗号通貨の総時価総額が3.46兆ドルから3.85兆ドルに増加しています。彼は、暗号通貨やその他のデジタル資産は、もはや希少性を競争基準とせず、エネルギー生産量を基準とするようになると考えています。

マスクはさらに説明します。「もし『電気』が価値の基準となれば、発電コストの安い地域が『鋳造国』となり、効率的な電力利用企業は『印刷機』を持つのと同じになる」と述べました。

この見解はビットコインと一定の類似性があります。ビットコインの「ブロックチェーン」技術は、実際には「プルーフ・オブ・ワーク（PoW）」、つまり「仕事量による証明」という仕組みです。マスクの主張は、「エネルギーによる証明」を通貨のプロトコルに組み込むというものです。

もし本当に「電気」を価値基準とする通貨が現れれば、こんな光景が見られるかもしれません。店で買い物をする時、「この水は何キロワットアワー（kWh）ですか？」と尋ねるのです。

多くの人はマスクのこの見解に疑問を呈しています。批判者は、電気料金は大きく変動し、価値基準として安定性を保つのが難しいこと、地域ごとに発電方法や環境コストが大きく異なること、エネルギーの貯蔵が難しいことなどを理由に、電気が安定した価値基盤になるのは難しいと指摘します。

一方で支持者は、マスクの構想は単に「電気でお金を代替する」ものではなく、「エネルギーによる証明」を通貨プロトコルに組み込むものだと考えています。

疑いの余地なく、もし本当に「電気」を価値基準とした通貨が登場すれば、大量の安価な電力を持つ地域が最大の勝者となるでしょう。そして、マスクが手掛けるテスラ、SolarCity、SpaceXなどの企業は、間違いなくこの変革の最前線に立つことになるでしょう。$SOL